命の危険! 舞台は弓矢の嵐

17.09.2017

タンホイザーの最初の15分間に、700本以上の狩猟の矢が国立劇場の舞台上を飛び交います。オペラはヴェーヌスベルグの調べに振付けられた狩猟の射手バレエで始まります。この壮大に視覚化された前奏曲を創作するのは、29人のバレエダンサー、4人の弓矢トレーナー、1人の振付師と、忘れてならない7人の門衛です。ここでは、この場面について詳しくご案内しましょう。

 


タンホイザーの稽古初めから、
7つの全てのドアには「生命の危険 !!! 弓矢の演習中 」と掲示されました。門衛係の舞台装置担当者は舞台装置を組み立てると、不注意な技術者や遅れてきたコーラス団員が弓矢の嵐に射られぬよう、稽古中と公演中に各扉を警備していました。余程不運でなければ扉に掲げられた警戒通り死に至るという事はないでしょうが、事故は十分に起こり得るでしょう。舞台後方の壁に射られた矢を刺さったまま残すため、矢先は金属製で弓力は16から20ポンドです。つまり、弦を張るには4リットル分のビールジョッキを持ち上げるのと同様の力が必要なのです!矢はザクッと音を立て、壁に12cmの深さまで突き刺さります。国立劇場の舞台で本物の武器が使われることはめったにありません。弓と矢は公式には武器ではなくスポーツ用具ですが、バイエルン国立歌劇場の甲冑師は稽古中と公演中は常駐し、全ての矢が無事に武器庫に戻るよう安全管理を行います。


この壮観な振付は、射手にも危険が伴います。少しでも注意を怠ると、戻りの素早い弦が広げた腕に傷を付けるでしょう。誰も舞台でそのような経験は望みません。射手の大半は、このタンホイザーの稽古まで一度も弓を扱ったことの無いフリーのダンサーです。そのために、ミュンヘンの伝統的フィールドアーチェリー同好会会員4名が、4月始めに1週間毎日2時間ずつのトレーニングを行いました。その後、振付師のシンディ・ファン・アッカーは週に23回、個々の形や楽曲に添った動き方をダンサーと稽古しました

タンホイザー稽古中のダンサー
タンホイザー稽古中のダンサー
ダンサーに指示するフィールドアーチェリー同好会会員
ダンサーに指示するフィールドアーチェリー同好会会員
全ての扉に明確に掲示された警告
全ての扉に明確に掲示された警告
前奏曲の稽古中の構成
前奏曲の稽古中の構成

 

タンホイザーの冒頭数分間に観られるファン・アッカーによる射手の振り付けが、カステルッチのライトモチーフの一つとしての弓矢の導入部分です。前奏曲の間に、矢は時に単独、時に一斉に、音楽のリズムにのって映像化された眼を射ち刺します。射手はローマの狩猟の女神ディアナの従者のようです。彼女らはワーグナーによる演出指示書に「戦列の如くに、(・・・)深みでの騒ぎに絶え間なく雨あられの矢(を射る)」とされるキューピットをも喚起します。前奏曲での弓矢は、音響的かつ視覚的で象徴的な楽器です。すなわち、弦のリズミカルな音と壁に突き刺さる矢はワーグナーの楽曲と魅惑的に融合します。何百本もの矢が放たれ、次々と厚く重なるように壁に突き刺さる舞台は印象的です。弓矢の象徴的な意味合いについてのカステルッチ自らの解説はこちらです。

前奏曲の後に矢の突き刺さった重さ2,7トンの壁が舞台から下げられます。休憩時間に4人の舞台技術者が20分ほど掛けて全ての矢を抜き取ります。エサフォームという特殊素材のお陰で、矢の刺さった後の穴は自動的に閉じます。そうして壁はまた次の公演で射られるのです。

Alena Grimbs

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